無料ブログはココログ

« 夕霧に消えた恋 153 | トップページ | 夕霧に消えた恋 155 »

2014年8月 3日 (日)

夕霧に消えた恋 154

だからね、優さんが帰ってきたら、あなたが居なくて寂しいから、帰るまで実家に帰っていたって言えばいいでしよう、本当の事なんだから。

母さんに寂しいのまで、教えて頂いたのでは仕方がないわね、そうするわ。

 

社長にその旨伝え家に帰ることにした、社長は、

諦めてはいけませんよ、そこはその侭にしておいて、必要な時は何時でもご自由に出入りして頂いて結構ですから、ご安心下さい。

京は、私、高川さんがお帰りになるまで、一緒に住んでもいいかしらと言ってくれ、華奈は嬉しかった。

 

華奈は実家に帰ってから、気の抜けたような日を過ごしていた、両親も華奈の気持ちが判っているので、時間が経つまではと、そっとしていた。

それでも華奈は、その後の捜査情況と警察からの相談したい事について、聞きに行った、警察では、船内は無論のこと、あの時点で船の位置と潮流から考えて漂着物などが無いか確認するよう、沿岸を所轄する署に指示をした、漁協にも協力を要請しているが、今の所、情報は無いと言う、後は、事故の証拠がなければ、近いうちと言う事ではありませんが、何れ失踪と言う扱いにして頂いては如何ですかと言うことだった。

いろいろ事情もおありの事でしょうがと応対は非常に丁寧だったが、警察も他にも事件を抱え込んでいるのに、訳の判らない事件?に何時までも掛かっていられないと言った雰囲気が感じられた。

 

帰りに何気なく優とのことを思い出していた、短い付き合いの中で、優は時々、自然には人の作ったルールなんか通用しない、先の事も人生も決まっている、魂は死なない、魂は何処へでも瞬間に移動する、善も悪も必要だからある、バランスなんだ、とか、難しい事を言っていた。

神隠しって聞いたことはあるけど、ほんと、優は何処へ行ったのかしら?あの里山しかないと思う。

 

マンションに立ち寄り、旅行鞄を整理した所、優の着替えのポケットにサイフが入っていた。

ここにある物は優が帰るまでその侭にしておく心算だが、このサイフは何となく気になる、結婚したとはいえ、私物に無断で手を付ける事を躊躇ったが、サイフを取り出した、小銭入れの中に小さな鍵が入っていた、何の鍵だろう?

鍵は優の机の引き出しの物だった、華奈は、何が出て来るか判らない、妙な気分で、引き出しを開けた。

中には、高川・南川の印鑑が入った封筒と、ノートが一冊あり、ノートの間に白い封筒が挟んであった、封筒には高川・南川の封印もされていた。

何でここに高川・南川の印鑑があるのだろう?何の書類が入っているのかしら?どうしようかと思いながらも、恐る恐る開封した、それは、優と美華のサインがある婚姻届で、日付も記入されていた、華奈は見てはいけないものを見てしまったような気がして、後ろ暗い思いがした。

優は此の世にいない美華と結婚し、どの様な形で付き合って来たのか、経過は判らないまでも、これで

今の今まで、どうしても納得できないことが、これで全てが判ったような気がした。

そうだったのかと思いながらも、優も美華も許せない、しかし、優はもう帰らないと思う、誰にも相談出来ないし、何らかの結論を出さないと、心のやり場がなかった。

« 夕霧に消えた恋 153 | トップページ | 夕霧に消えた恋 155 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。