無料ブログはココログ

« 夕霧に消えた恋 59 | トップページ | 夕霧に消えた恋 61 »

2013年9月 8日 (日)

夕霧に消えた恋 60

先生の秘書は元厚労省の官僚で先々の次官を嘱望されていたが、次回?の衆議院選挙で先生が引退する後を狙って修行中という所で、国立病院の改築を考える上でも、最適な人選であった。

役所関係は先生の秘書に紹介して頂く、次の次ぐらいに次官を狙っている人物が良い、これで舞台はS建設、病院機構、役者も揃った、後は金の流れに細心の注意をし、万全を期すること、しかし、これが一番問題だ。

ここで小さな事でもミスすると、この業界から追放されないまでも、一からやり直しだ。

S建設には悪気はなかった。業績をアップしたい、融資を受けたいが為、落札した3期に及ぶ予約総工事代金のX%を前倒しして今期の売り上げに加算し、Y常務の指導通りにやった、それだけだった。

S建設ではY常務の指導に社運を掛けていた、それだけに、工事についてY常務を交えてミーティングをした時も、安全第一、釘一本に至るまで今までと違って真剣そのものだった。

Y常務の存在も極秘で、口が裂けても他に漏れることはなかった。

調査が進むに従い、融資と事業規模の大きさ、融資された金の流れに疑問が発生したが、細かく複雑を極めるシステムに入出金の疑問を解く鍵が見つからないばかりか、時間が掛かるばかりで、先に進まないし、経費の水増しなど、裏面調査もやったが、現場作業員の飲むジュース一本まで正確に記帳されていて、疑わしい物を見つける事は出来なかった。

数回の会議では、かなり怪しげな金の流れに疑問を持ちながらも税法違反を確定するまでにはいたらず、調査を元に戻し、先ず、誰が企画したか?スタートから入ることにしたが、鑑査法人も入っている関係もあり、これは一所轄の税務調査では事がたりなかった。

調査に入っても、粉飾決算ではなく、前倒しの工事代金は、前受け金として病院側からの入金もあり、前倒し経理についての善悪は別として、この工事に伴う借り入れ金額については会計処理に間違いはなかった。

銀行からの融資金額は病院機構も含めると巨額なものとなり、出口の無い迷路に迷い込んだ様に、動くほど判らなくなるだけではなく、逆に明細な経理内容に納得する始末だった。

粉飾決算が確定したとすれば、責任者には罰金や懲役などペナルティが科せられるし、今後の入札資格にも影響する。

それだけに、Y常務の一生を掛けたとも言える計画は、あらゆる意味で周到であった。

金曜日に華奈さんから日曜日に話したい事があるので、会いたいと電話がきた。

悪いけど今度の日曜日は予定があって、駄目なんだ。

どんな予定なの。

(そらきた、だから女性はやりにくい)ODAで国外のインフラ整備を請け負った建設工事について、僕がアドバイスした会社が工事の中間報告を今度の日曜日にするから是非来て下さい、と案内がありました、それで、華奈さんとあえない訳です。

さんは、付けなくてもいいわ、そんなの私、分からないわ、でも、あなたでなくとも、会社の偉い方がいらっしゃるのでしよう。

僕の場合は特別に来てくれって言う事で。

特別って、何が特別なの?

« 夕霧に消えた恋 59 | トップページ | 夕霧に消えた恋 61 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。