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2013年9月15日 (日)

夕霧に消えた恋 63

秘書の女性と華奈は微かなバラの香りに魅せられたように目を閉じた、気が付くと、二人は野原の中に立っていて奥の方へ歩きかけていた。

秘書の女性は、身体が強張った感じで怖くなり、首を振って我に返った。

油絵を見入っている華奈が、絵の中に入って行きそうな、不思議な別の世界がそこにあって、話しかける事も出来ず、ただ呆然と見ているだけで、他の社員が呼びに来なかったら、秘書の女性も再度、華奈と一緒に絵の中に入って行ったかも知れない。

絵の中に入って行ったら、どうなったかと秘書の女性は身震いし、若しかしたら、この方は別の世界から来た人じゃないかしら?と思った。

高川さんがお友達だと言ってたけど、油絵を見入っていた表情は、社長室に入る前の方と違っていたし。

後日、社長に聞くと、

何をばかな事を言っているんだ、あの絵を眺めながら瞑想すると、身も心も自然に絵の中へ入って行き、何とも言えないリラックスした気分になる、確かに吸い込まれる様な感じもするにはするが、それは女性の防衛本能のようなものだよ、お前が考えている様な遠い世界へ連れて行かれることはない、ここは社長室だよ、心配するな。

先生はスバラシイ絵を選んでくれた、感謝している、もっと勉強しなさい。と怒られた?

確かに、社員の評判がいい事は良い、営業部長なんか大した用でも無いのに、絵の鑑賞を目的にわざわざ来る、社長も笑っているけど、あの瞑想は中毒になるみたい。

優は来たときから、何時もと違った感じに戸惑っていた、社長は優をお世辞にしても先生と、信頼してくれるけど、大方の社員は銀行屋の高川の占いか、その程度だ、それはそうでしょう、叔父だって、まだ終わってないが今回の件までは占いで商売する訳には行かないと言っていたんだから無理は無い。美華でなければ、俺自身だってそうだ、そんなの何か特別な事でもない限りまともに信じる訳が無い。

所が、今日の社員は優に対して、一営業マンから社長の言う様に、先生に昇格した、なんだろう?

社長は会場に向かう廊下の途中で、今の所、詳しい事は分かりませんが、ODAの橋梁工事で、今朝方、爆発事故があったと情報が入りました、日本人の犠牲者も出ている様ですと、耳打ちした。

優は美華の予言を聞いていたので、やっぱり当たったかと思ったが、その情報は早いもので、社内は事故のニュースより、優先生の予知能力にビックリ仰天し、工事の進行状況の説明所ではなかった、事故に遭った会社にはお気の毒だが、社長は俺の見る目に狂いは無いだろうと、得意満面だった。

説明会のあと軽いレセプションがあった、優は末席を希望したが、一際目立つ華奈もいて、席の周りは異様に盛り上がっていた。

事故の内容は美華に聞いて知っていたが、予言での騒ぎは困るからやめた。

帰り際に社長はもう一度、寄って行って頂けませんか、と社長室に案内された、社長は事故を免れた礼を幾度と無く言いながら、人ごとでは無いので私も自社の現地も含め、直ぐにでも行って来ます。

それで別の事ですが、と華奈をさして、此方の方とは近いうちに?いやいや分かっています、気が早い様ですが、その時の話です、新居のほうは是非とも私共にお任せ下さい、ええ、もう勝手ですが、そうさせて頂きたい。

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